市場は楽観的なのか単に分かっていないだけなのか?

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米国主要株式の指標であるS&P500は驚くほど上昇しやすく、弱気の兆候が出てもそれを切り抜け、2月につけた史上最高値の10%下まで戻った。先月S&P500は夏の終わりまでに18%下落するだろうと予想していたゴールドマン・サックスのアナリストも急いで予想を改定し、株価の下値目標を引き上げた。

株式と債券がここ数週間買われている理由は何だろうか。米FRBと強気の投資家の買いがその原因である。

FRBには金融危機を回避する為にはどんな手段も用いる準備があり、数兆ドルの資金貸出制度を設定し、資産価格を下支えして、米国経済の再開をサポートしている。しかし、この好調な市場は景気に関して多くの悪材料が出ていることと矛盾している。投資家は4,000万人が米国で失業給付を申請していることを認識しているのだろうか。欧米の大手航空会社が何万人という従業員を解雇していることはどう見ているのだろうか。

これは金融市場と現実世界が乖離していることを示している。

この乖離は、大型の景気刺激策が行われる中で、一旦都市封鎖や移動制限が解除されれば経済はすぐに回復すると投資家は予想しており、盲目的に楽観的であることを示している。最近の上昇相場の中で、多くの投資家が近い将来にワクチンが間もなく開発され、企業収益も大きく改善すると過信していることで、強気相場が助長されているという懐疑的な見方も多い。ワクチンの開発には時間がかかり、経済の再開で感染第二波が起こって更に封鎖を強化しなければならない可能性もあり、そうなれば景気回復は阻まれると専門家が警告しているにも関わらずこういった状況になっている。

今のところ買いが続いており、こういった疑念は間違っているように見えている。「取り残されることへの不安(FOMO:Fear of Missing Out)」によって新たに買いの動きに加わる人もおり、こういった人々は最近の上昇相場のモメンタムが続くことを望んでいる。

都市封鎖が最初に導入されて以降、証券会社では株式購入の為の新規口座開設が増えている。人々が実際に楽観的である兆候なのか、若しくは退屈な封鎖生活のせいだろうか。オンライントレードは手軽であり、「押し目買い」の考えが広がって、新しい個人投資家を惹きつけている。受託者の資産を運用するファンドマネージャーには、特に現在金利商品の利回りがゼロに近いこともあり、株を買わなければならないというプレッシャーが掛かっている。

取り残されるのが嫌なFOMO投資家が増えていることで最近相場が回復したとはいえ、各方面でリスクはまだ高い。封鎖解除後に弱気のサプライズや深刻な感染第二波があれば、資産価格は突然下がるだろう。

まだ分からないことが多く不透明感が高い中で、利益を追求しているFOMO投資家は無謀だと言える。しかし、米国当局は大規模な財政政策と金融政策で経済を支えることを約束しており、それが市場の信頼感に繋がっており、そのうちまた大きな売りがあると考えるべきかもしれないが、それはすぐには起こらないかもしれない。

現時点では、小さなことで市場が反落することはなさそうであるが、大きな材料があれば転換点となるしれない。商業用不動産、銀行の健全性に重要な企業や消費者融資が危機的状況になるようなことがあれば、各国の中央銀行はそれを切り抜けることができるかどうかを試されるだろう。米中関係が悪化していることも市場の悪材料となり得る。

ここ数週間で米国株式市場が上昇したが、多くの楽観的な前提の上で起こっている。コロナウィルスが世界経済に与える影響はまだ初期段階であり、今後世界経済がどうなるかは誰にも分からないが、投資家は今後の紆余曲折に備えるべきである。物事が今の楽観的な前提通りに進んだ場合にのみ、現在の株式のバリュエーションは妥当と言えるかもしれない。

自粛生活が続きますが何卒ご自愛ください。

– RT

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